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LIXILメンバーズコンテスト??一般の方は聞き慣れないかもしれませんが、2012年からLIXILがデザイン的・機能的に優れた新築・リフォームの作品を全国規模で表彰している業界では名の知れたコンテストです。年を重ねるごとに年々規模が大きくなってこの2017年の応募総数はなんと3,011点!その中からこの作品『K様邸~大きな折半屋根を持つ焼杉の家~』でライファ今治が四国地域の「地域最優秀賞」をいただきました!
そもそも2017年っていつの話をしてるん?てお思いになられる方もいらっしゃるかと思いますが、2017年に応募して審査結果が出るのが2018年。ちなみに翌々の2019年はコロナ禍でコンテストそのものが無かったので2017年というのは最新のより1つだけ前のものということになります。
K様と最初の出会いはライファ今治の不動産部門であるユイムニでした。
中古の戸建てを探しに来られたK様とはなぜか当初から不動産ではなく、建築の話で盛り上がりました。後々知ったのですが、K様のお父様が建築士でご自身も昔からこういうことに興味があったんだそうです。何度か物件案内を続けていく途中で土地からの新築も候補にあがりましたがコスパ的にはやはり中古のリノベーションだということで落ち着き、この物件を購入されました。
先にも述べましたが、お父様が建築士だということもあり、リフォーム工事はてっきりそちらでするものだと思っていたのですが、この数ヶ月間ぼくと建築の話で盛り上がったということもあり「ライファさんが建てる家を見てみたい」とのご要望をいただきました。しかし、K様がとてもこだわりの強い方だというのはこの間で充分理解していたので、その期待にライファ今治としてしっかりお応えできるかという不安もありましたが、これも何かのご縁だと思い、ありがたくお請けさせていただきました。
ここからは工事の流れをご説明させていただきます。
まずは解体からです。
天井を撤去して小屋組みを確認します。そこで初めて抜ける柱抜けない柱がわかります。それまでにご提案してある間取りプランはあくまでもこういう小屋組みだったら、という仮定のものになりますが、梁の補強等をしてできるだけそのプラン通りになるようにします。
続いて床も撤去します。これぐらいの規模の工事になれば、解体後は数本の柱と小屋組みの一部が残る程度になります。
次に防蟻工事です。
いわゆるシロアリ予防です。業者にもよりますが、ライファ今治が建てる新築の現場では基礎を立ち上げる前の掘方をした段階で一度入ります。その後、棟上げと言って柱や梁などで家の骨組みを作った時にもう一度入ります。
最初に入るのは土の中に薬を撒いてシロアリが上がってくるのを防くため。2回目は正にその土台や柱に直接薬を注入して予防をするためです。
今回は新築ではなくリノベーションなので、既に基礎と土台があります。既存の立ち上がりの基礎の土間部分にコンクリートを打ち足してベタ基礎仕様にしますが、新築の時と同様にコンクリートを打つ前に土に薬を撒いてから今ある土台や柱に薬を注入していきます。また新しい土台や柱が入った後にもそこに薬を注入します。
ここからは通常の新築工事の現場と大差無いと思います。
まずは既存の土の上に防湿シートを敷いてコンクリートを流します。湿気が上がってこないようにするのと、基礎自体を強固にしていくためです。
新築との違いは既存の基礎を流用できるということです。これだけでも新築と比べるとコストカットができます。
下から湿気が上がってこないように防湿シートを敷いて、その上に鉄筋を這わせます。新築と同様の仕様です。
コンクリートを流し込みました。鉄筋が立ってるところは新しい間仕切り壁が来るところなので、ここにも基礎を立上げます。
リノベーションなので、極力使える柱や梁は残します。「使える」というのは腐食していないという意味合いもありますが、木って意外と強いものでそういう意味で「使えない」柱はあまりありません。どちらかと言うと新しい間取り上不要な柱を抜く、というイメージですかね。もちろん追加する柱もあります。
新築で言う「建前」や「棟上げ」と呼ばれる工程です。新築の場合は必ずクレーン等の重機が必要ですが、リノベーションでは既に立ってある柱に梁が跨ってあるので、そこにハシゴをかけて上がれます。今回もクレーン車は必要ではありませんでしたが、危険が伴いますので少しずつ作業します。
ここでこの家の大黒柱の登場です。個人の各部屋よりも極力リビングを大きくしたいとのK様のご要望から、考えた結果リビングが27帖余りもある広さになりました。その間壁はありませんが、それだけの大開口を支える柱がどうしても必要でした。大工さんからは10㎝角の柱を2本入れようかと提案されたのですが、ちょっと面白みに欠けるのでここも考えました。大きな丸太はどうだろう!?即採用していただきました。完成後はリビングのど真ん中にこの大黒柱の丸太が立つことになります。
この家に限っては屋根に折半屋根と言う大きなガルバリウム鋼板でできたものを採用したので「建前」の時には使わなかったクレーン車の登場です。
よく工場とかで使われる屋根材で一般的には住宅に使われることはまずありません。工場に使うような折半屋根をそのまま敷くと雨が降った時に屋根を打つ雨音が室内に響いてうるさくなるのと、断熱や結露防止の意味も込めてペフと呼ばれる断熱材が裏についたものにしました。この屋根もこだわりの部分です。ただ住宅にこんな屋根を使うこと自体初めてだったので、一応お施主様には念のためこうなる恐れがあることはお伝えし、ご了承していただきました。
屋根ができたら次は外壁です。
防水紙を貼って胴縁を打って…、とここまでは通常のサイディングの外壁を貼る工程と同じですが、タイトルにもあるようにこの家の外壁は焼杉にしました。よく見るとわかるのですが、2種類の焼杉をランダムに貼っています。黒い焼杉だけでもよかったのですが、若干のコストカットと他にはないおもしろみにかけてみました。結果、唯一無二の外壁になりました。
外の次は内です。
まずは根太組みと呼ばれるフローリングの下地を組みます。コンクリートで新たに作った基礎の上に大引を置き、そこに根太を組んで行きます。
根太の間には下からの冷気に備えてもちろん断熱材も入れます。
ライファ今治のリノベーションは現在普通に建てられている新築以上の性能を目指します。壁断熱はウレタンの吹付断熱で外周面をビッシリと埋めました。
サッシの外側はアルミでできていますが室内側は樹脂製というハイブリッドのものを採用しました。ガラスはもちろんペアガラスのものを使います。
リノベーション工事もそろそろ終盤です。
階段は既製品ではなく、大工さん手作りの無垢階段にしました。既製品のに比べると傷などには弱いですが、それも1つの味だとご認識いただけるということでこれにしました。
その階段を上がると壁・天井をOSBボードに、床を構造用コンパネを仕上げとしたサービスルームがあります。天井は低いですが、納戸としては十二分に活用できるスペースです。
そこからベランダに出ることもできます。ベランダにはFRP防水を施しました。途中段差になってるのを気づかれた方、さすがです!この段差ですが、下に大きな梁がありそれをどうしても外すことができず、このような形になりました。もちろんお施主様の了承済です。
向かいに池があるのですが、このベランダから眺める景色は圧巻です!写真撮り忘れてます笑
これが最初にご報告したメンバーズコンテストの表彰式の写真です。横浜ロイヤルパークホテルという由緒あるホテルで開催されました。
この作品だけではなく、この年に受賞された作品はこちらの本に載ってます。
リノベーションをお考えの方はぜひ手に取って参考になさってください。